子供の頃、幼稚園でおもちゃ自慢になったとき子供ながらについつい大風呂敷を広げてしまい、その後当然の流れで恥ずかしい目にあった。
当時そんなにものを買ってくれる家庭でもなく無制限にTVアニメを観ていいという両親でもなかったので、わたしは他の子と比べて微妙に流行からずれていた。
子供の流行に対する眼は確かなもので、というより大人が思っている以上におもちゃの動向に敏感で、かつ間違いに対して容赦は無いもので、当時流行っていた(と私だけが思っていた)犬の少女マンガの等身大のぬいぐるみを持っていると幼稚園で宣言してしまい(ご想像通りそんなおもちゃは作ってもいなければ売ってもいないのだけど)お友達がこぞってウチに遊びに来る羽目になった。
相当ヤバいと感じた私は、安易に買ってもらえるはずの無いおもちゃを緊急事態とばかりに母親の猛烈に買って買ってとせがんだ。しかしあの時の大人(母親)のドライさも半端なくすごかった。
母親は、いともあっさり「嘘つきましたごめんね」と謝ればいいのよといった。もう背水の陣だ。こんなことってあるのかしらと自分の置かれた(自分でまいた種が)状況がこんなにも悪転することがあるなんて。
今更絶対そんなこといえない。わかるでしょ大人なんだからって気分だった。でも週末にはみんながやってくる。とうとう私は最後の頼みそれは怖い怖い父に泣きついた。
しかし父は母親が止めに入るくらいカンカンに怒った。私は最後の藁をなくしもう諦め週末までの幼稚園を静かに過ごした。そして明日はみんながやってくる。
すると前夜父が大きな袋を提げて帰ってきた。私はもう諦めてたので、恐る恐る袋の中をのぞくと中にはなんと母親の時代のおもちゃかってくらい古いあぶちゃんという赤ちゃん人形が入っていてぶったまげた。
父には悪いけどコレなら無いほうがいい訳がつくと子供心に冷静に思ったことを覚えている。父さんも流行りに疎いんだね。